• 2007年02月 の記事一覧

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2007年02月24日(土) 記事No.18
今年は半端でないくらいの暖冬だ。
私は原付バイクをあらゆる行動の主な手段としている。
しかし原付の最大の欠点は冬の寒さへの対処が困難な点だ。
時速60キロ(おいおい!速度オーバーか!?)の極限の運行は
冬の乾いた向かい風にはどんなぜいたくな防寒用品も役立たずである。
そこで冬の行動手段の主役は車と替わる。

だが、この暖冬のせいというかおかげというかは言葉を選ぶのだが、
とにかく原付が大活躍なのだ。
おかげさまで(やはりおかげが適切か!?)、ガソリンにカネをかけずに
すむという節約が私の懐を潤している。

おそらく今後手をほどこさなければ、来年、再来年の冬の主役が
車でなく原付である確率は過去よりも高くなるであろう。
まあそんな確率を計算する必要はさらさらないのだが、
確率という言葉は、競馬好きの私にとっては極めて重要なボキャブラリーだ。

なにせ賭け事とはきっても切れぬ関係で、当たり前だが賭け事は
主催者が勝つ確率が高いように仕組まれている。
だが賭け事に執着する者はそれに気づかないか、気づいていてもそれを認めようと
しない傲慢な態度を貫き通す傾向がある。
理屈で考えるべきものが、感性や情緒が優先してしまう。
なぜなら、的中したときの喜びが体に染み付いてしまうのだ。
そこには物事を公平に考える頭脳は影を潜め、理想と欲に身を委ねてしまうのだ。

そんな危険と隣り合わせの確率について考えさせられる書が今回のエントリー作品だ。





エントリーNO2  アダム・ファウラー 「数学的にありえない

数学的にありえない〈上〉
数学的にありえない〈上〉アダム ファウアー Adam Fawer 矢口 誠

文藝春秋 2006-08
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starシドニィ・シェルダンばりに先が読めないので・・・
starついていけないです…(泣)
starぜひこの変な世界に、皆さんに浸って欲しい

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 1位  アダム・ファウラー  「数学的にありえない」 
 2位  宮部みゆき 「名もなき毒」
 3位
 4位
 5位
 6位
 7位
 8位
 9位
10位
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2006年に新設された「世界スリラー作家クラブ最優秀新人賞」の初代受賞作品となった
本作品。巻末の訳者のあとがきによると著者のアダム・ファウラーは6才の時に両目が失明のおそれ
のある難病に侵され、読書ができなかったという。代わりにいろんな書物を「聴いて」作家になる夢
を持ったそうだ。大学を卒業後はいくつかの企業を渡り歩いたのだが、
ある時期に同じく作家志望の親友の女性が末期ガンに侵され、

「自分が心からしたいことに人生を奉げよう」と決意したとの記述があった。

その作家業出版処女作品が本書というわけで、その著者の夢の最初の一歩を読ませてもらった。

主人公は大学で元は統計学を教えていたディビッド・ケインだったが、
脳機能の障害によって起きる発作性症候群、いわゆる癲癇(てんかん)のために教壇を離れ、
主治医に治療のための薬の処方を受けていた。
その副作用というのだろうか、幻覚、幻聴、幻嗅、既視感により過去、現在を通して未来におきることが
わかるという予知能力を持つようになる。
とはいってもそれは第三者から述べた主人公の姿。本人はこれより起こるありえない出来事を
ある時期まで「幻覚」と位置づける。

一方で、とある実験ついて研究を重ねる謎の科学者トヴァスキー、
未来を予知する方法を発見した国家安全保障局科学技術研究所のフォーサイス所長、
旧ソビエト出身で冷戦時にスパイとしてアメリカに潜入した元CIA女性工作員のナヴァ、


この3人が予知能力を持つといわれるディビッド・ケインに必然的、偶然的に近づこうとする。
そこに至る経緯の中で殺人、爆発、拉致、逃亡.....

近づく目的とそれによって得られる結果は三者三様だが、
そんなスリルを楽しむ一方で、

学問の分野にも深く入り込み、知的好奇心も織り交ぜながらの闊達な討論、議論が登場人物の
会話のいたるところに出てくる。

物理学に精神医学科学に哲学、統計学、そして確率

上下巻もののエンタメ長篇に難しい学問のうんちくが絡むと正直読むことに億劫になりそうな
ところがあった。
確率や統計学といった比較的興味ある分野はまだしも
特に私の苦手分野の物理科学のうんちくはリズムがくずれる。

しかしこの主人公の予知能力に興味を抱く脇役達が科学者や大学教授であり、主人公の病である
癲癇(てんかん)は精神医学や脳の機能に関わる問題だ。
しかも、主人公はなんといっても確率や統計学といった数学の分野に明るいとくれば、
どうしても

数学者パスカル、
精神科医ハンス・ベルガー、
不確定性理論のハイゼンベルク、
決定論のニュートン、
それを反証したダーウィン、
天文学に確率論を取り入れた天体力学のラプラス、
集合的無意識の理論を唱えるユング、
特殊相対性理論のアインシュタイン

といろんな研究者の思想、理論を出さないわけにはいかない。
さらに彼らに近づく学者達は主人公の予知能力がおこる原因を学問的に
証明しようということになる。
ここをどう我慢し、乗り越えるか、もっと楽観的にいえば、どう楽しむか、
いかにそれを物語に横たわるテーマとして軽くとらえられるかで
本書を「読することができるか」あるいは本書に「毒されるか」が決まってしまう。

以前、「四日間の奇蹟」という作品を読む機会があったが、その時に長々と専門分野の
難解語をまじえた文章を読まされて嫌気がさした経験があったので正直少し身構えてしまった。
今回はなんとか持ちこたえることに成功した。

四日間の奇蹟
四日間の奇蹟浅倉 卓弥

おすすめ平均
starsミステリー・・・?
stars読後感は最高
starsウケ狙いがミエミエですね
stars奇蹟はより、奇蹟を増して
starsラストまで読んでください

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ちなみに主人公は双子の弟であり、兄ジャスパーは弟とは瓜二つ。
この一卵性双生児のジャスパーも物語のお楽しみには欠かせない。

で、さまざまな場面で主人公ケインの確率を用いての判断に遭遇する。
そしてその確率とそれによって引き起こされるシーンの数々が

数学的にありえない」かどうかとタイトルとにらめっこをするのもまた面白い。


まあ四苦八苦しながらの知的なエンタメ小説は2度読むことでもっと味わいが出て、
諸学問に明るい者にとってはさらにつっこんだ発言ができるかもしれない。
著者の意欲と知的なエンタメとして楽しめた点で
「名もなき毒」より遊べる1冊であった。ごちそうさま。

数学的にありえない〈下〉
数学的にありえない〈下〉アダム ファウアー Adam Fawer 矢口 誠

文藝春秋 2006-08
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star“ありえそうにない”ことを”ありえそう”に描ききったページ・ターナー
star特別優れた小説だとは思えませんが・・・
star白熱出来るゲームに参加出来る下巻

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2007年02月04日(日) 記事No.17

読んだ本の印象度順にランキングを付けたいと思う。
これは普遍的なものではなく、あくまでも個人の枠を出ない
ものである。よって、他人が賛同しないものが上位にくること
もあるだろう。2007年12月にどんな順位になっているかが
楽しみだ。




エントリーNO1  宮部みゆき 「名もなき毒」

名もなき毒
名もなき毒宮部 みゆき

幻冬舎 2006-08
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おすすめ平均 star
star好みの問題ですが
starすばらしいです
star「家」の「毒」についてちょっと考えた

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2007年初読みであるため、とりあえずは現在進行形で

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 1位  宮部みゆき 「名もなき毒」
 2位
 3位
 4位
 5位
 6位
 7位
 8位
 9位
10位
------------------------------------------

となる。今後読む本如何ではこの順位は
激しく入れ替わるだろうし、よい印象度に値する
本に多く巡りあいたいというのが筆者(私)の想いである。





社会派ミステリーというジャンルの泣きどころは、
出版当時は活況を浴びるのであるが、時が経つと読み手の印象が
頭の中からすっからかんになってしまう点だ。

それは時代の移り変わりが激しいほど顕著であり、現代社会が
まさにそうではないか。
昨日親殺し、子殺しがあったかと思えば、今日はバラバラ殺人、
次は放火事件と事件に次ぐ事件、情報に次ぐ情報に人々の脳は
反応することができない。むしろ、とっとと忘れ去った方が受け手に
とっては気楽といえよう。

社会派ミステリー、社会派小説というジャンルは、
当時の社会情勢を背景にした作品であるがために、時が経ち、現代社会にそぐわない
事象がテーマとなると、まったく誰の相手にもされなくなる残酷きわまりない
ハイリスクな類であろう。

では、時代遅れと言われることをどの社会派小説も避けて通れない中、
後世に語り継がれる社会派小説とはどういうものかと考えた。

例えば、30年、50年前の社会を知るために我々はどのような
手段を選ぶか。

・当時のことを人に尋ねる
・当時の映像を見る
・当時の資料・書物を読む

ことが考えられる。過去を生きていない者が過去を語れるはずがない。
だから過去の者、そして物を知る必要がある。
そして以上の3つの手段の中で、

・当時の資料・書物を読む

ことを選んだときにそれが当時の社会派ミステリー、社会派小説であったとしよう。
読んでみて、当時の時代背景のみならず、物事の思考や行動を文面より読み手がうまく
解釈できる小説かつ、書物が執筆当時には解けなかったことを後世にさりげなく問いかけている
ふしがあるならば、それがこのジャンルが後世に残るに値するすばらしい作品
であると筆者(私)は思っている。


ただし残念なことは、30年後ならまだしも、50年後にはその作家はきっと生きては
いない。どれだけ医療や福祉が進んでもだ。


そんな今現在の社会派小説、社会派ミステリーの第一人者の最右翼の1人に挙げられるのが
宮部みゆきとその作品達。
「名もなき毒」は現代の、説明するには困難で不条理な事件や行為、行動を題材に
した社会派ミステリーの1冊。


なぜ説明するには困難で不条理な事件が題材かといえば、まさに今がそんな世の中だからだ。


高度成長期という時代は、国民皆生活行動パターンや目的というものはおおかた決まっていた。
それはやがて固定観念となり、それを少しでもはみ出したりずれたりしなければ、
「普通」という2語で片付けられ、
またその定義づけられた枠を根底に物語、ここで言うなら現代小説は生きていた。

ところが、
90年代後半の経済の破綻とそれを受けての再構築の過程において、多種多様な生活行動パターン
をいわば余儀なくされ、あとづけながらも多様な価値観も認めようじゃないかという風潮も出るように
なった。女性の社会進出や、働き方の多様化などである。
ただ、残念ながら人間というものは最もよい時を基準に考える性癖があり、
多種多様な生活行動パターンや価値観の選択はありながらも、
やはりバブル以前の生活様式が「普通」という意識が動かざること山のごとく、
横たわっており、「普通」という固定観念からはみ出ると、それを軽視する風潮はいまだに残されている。
軽視する風潮とは、さまざまな法律、条令に見受けられ、一方で
古き良き時代への懐かしさと、その時代を知る世代が多く存在することに理由がある。




「普通」という枠の中で生活している者にとっては実はその定義を比して意識しない。
なにを持って「普通」なのかは政府など国が押し付けたがっている定義や数値が目安である。
一方で
それ以外の「普通でない」枠の中で生活している者、ここでは政府など国が押し付けたがっている定義や
数値を満たしていない者は、「普通」を意識するあまり、「普通でない」ことを必要以上に意識する。
先の比してとは、「普通でない」者との比較である。

「普通」というのは定義や数値で決められているのでひとくくりにしやすいが、
「普通でない」のはそれ以外、それ未満であるわけで、いろんな「普通でない」者が存在する。

ここで問題なのが、「普通」=良い、「普通でない」=悪い という考え方だ。

そして気になるのが、よくニュース番組の会話の部分で語られる

「普通、~は.....」

といった一般論だ。メディアに一国民を代表して「普通」を語ってくれと頼んだ覚えもないのに、
例えばありえぬ犯罪事件に「普通目線」を持ち出した単なる「普通」の経験則にしか基づかない
あの語りだ。

「~と考えるのが普通ですよね。なのに...は...」

という解説を聞けば聞くほど 「普通」=良い が思考から離れられない。 

それが日本経済の流れの中でやむなくそうなったとしても、
生活行動や価値観が多様化しているのだ。

にもかかわらず、いつまでたっても
普通 普通 普通 普通 普通......



生活行動や価値観の多様化はおそらく「普通」「普通でない」の線引きをなくすという意味で
非常に肯定的にはとらえたい。
ところが、現実はあいかわらず境界線は引かれたままだ。
「普通でない」者が、政府など国が位置づける「普通」を示すがために、おまけにマスコミが
普通発言を乱発するばかりに

「普通でない」者は
自身の置かれた状況に憂えるばかり気があせり心にゆとりがなくなり、
また「普通」である者も「普通でない」者になりたくがないために
向上心を常に求められて心にゆとりがない。

世に起こる犯罪のほとんどは心にゆとりがない時に発生する気がする。

本書、「名もなき毒」は、
殺人も、自殺も、ストーカーも、いじめも、虐待も病気もなにかしらの原因不明の名前のわからない
「毒」を人間が持った時を前提としたような記述があり、
それは性別、年齢、職業など一切関係なく、体内に侵入する。

よって、本書で語られる一連の事件も名前のわからない得体のしれない「毒」の存在を思考する。
そこが味のあるタイトルだと感じるのだが、
筆者(私)の興味は、やはり本書で語られる「普通」論に目が行く。
それが先の考察であるのだが、まあ、罪を犯すこと自体は「普通」か、「普通でないか」と
問われれば、「普通」=良い、「普通でない」=悪い という考え方に苦言を呈してしまった
以上、「普通でない」=悪いとなってしまうのだが.......

毒に名前があるのなら、その毒の予防や処置の対策も立てられるだろう。
現代社会は、その「毒」が いつ、どこで、どのように人の体内に入り、それが使用されるのかが
わからない。さらにひどいことに、「毒」の名前もわからない。
30年後、50年後に当時の社会を知ろうとする本書の読者がはたしてその「毒」の名前の答えを
言うことができるのか。
それが言えるようになった時、本書の後世への役割は貴重なものとなり、同時にその役割を
毒の名前がわかることによって終えるであろう。


ちなみに今現在、筆者(私)の思う「毒」は、先に触れたように
余裕のなさであり、ゆとりのなさのような気がする。
この回答に宮部みゆきはどんな点数をつけてくれるかはわからないが、そんなに的外れでは
ないと思うのは私のご都合主義であろうか......

名もなき毒
名もなき毒宮部 みゆき

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star好みの問題ですが
starすばらしいです
star「家」の「毒」についてちょっと考えた

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